オリジナルのA-2フライトジャケットは、1931年5月9日にアメリカ陸軍航空隊が採用したレザージャケットです。ジップフロントで、シールブラウンのホースハイド(馬革)を使った着丈の短いジャケットで、スナップで留めるシャツカラーと、ウール編みの袖口・裾リブが特徴でした。現代のレプリカもこのシルエットを受け継いでいますが、革、裏地、ラベル、ディテールに違いがあります。1930〜40年代のオリジナルを知っておくと、A-2の名で売られているジャケットを見極める助けになります。
この記事のポイント
- A-2は1931年に陸軍航空隊に承認され、ボタン留めのA-1に代わってジッパーを採用しました。
- 初期のジャケットはホースハイドでしたが、のちにカウハイドとゴートスキンも承認されたため、革の種類だけではレプリカかどうかは判断できません。
- 戦時中は請負業者ごとに仕上げの水準が異なっていたため、「オリジナル」と言っても幅があります。
- A-2スタイルのジャケットを選ぶときは、革の種類、裏地、襟や袖口の仕様を確認し、当時の実物と見比べましょう。
A-2の成り立ち
航空隊が新しい夏用フライトジャケットの仕様書を出したのは1930年で、同年9月に最初の着用試験が行われ、1931年5月に生産が承認されました(Air and Space Forces Magazine)。前身のA-1はボタン留めでした。A-2ではこれを真鍮のジッパーに替え、隠しスナップはそのまま残し、ショルダーストラップを縫い付けたシャツ型のレザーカラーが加えられました。
仕様書は、クロムなめしのホースハイドを前提に書かれていました。カウハイドは1940年7月17日、ゴートスキンは1941年3月10日に承認されています(Wikipedia)。A-2の仕様書は1951年2月26日に廃止されましたが、その後も多くのジャケットが長く使われ続けました。
オリジナルのA-2はどんな姿か
スミソニアン国立航空宇宙博物館には、チャック・イェーガー将軍が1947年10月14日にベルX-1で飛行した際に着ていたジャケットが収蔵されています。その記録には、シールブラウンのホースハイド、真鍮のジッパー、スナップ付きのスタンドフォールカラー、茶色のウール編みの袖口と裾、襟の内側にメーカータグのある茶色のレーヨン裏地と記されています(Smithsonian National Air and Space Museum)。この記述は、そのままチェックリストとして役立ちます。
- シルエット:着丈が短く、裾はリブ編みです。
- 襟:革製のシャツ型で、ニットやファーの襟ではなく、スナップで留めます。
- 袖口と裾:革のバンドではなく、ウール編みです。
- フロント:ボタン留めではなく、スナップを隠した比翼付きのジッパーです。
オリジナルのA-2と現代のレプリカの違い
違いは主に数か所に集中しており、下の表にまとめました。どれも現代のジャケットが偽物だという意味ではなく、購入者が何を手にするのかを示すものです。
| 項目 | 当時のオリジナル | 現代のレプリカ |
|---|---|---|
| 革 | 当初はホースハイド。1940年と1941年にカウハイドとゴートスキンが承認 | メーカーによって異なります。販売者が使用している革を明示するべきです |
| 裏地 | シルク、レーヨン、コットンなど、資料によって記録が異なります | さまざまです。メーカーが明示するべきです |
| ラベル | 請負業者のタグ、仕様、サイズ表記 | ブランドタグ。復刻ラベルは当時のレイアウトを真似ている場合があります |
| 経年 | 数十年の使用による経年変化 | 新品、またはあえて加工したヴィンテージ風 |
| サイズ | 32から54までのミリタリーサイズで、当時の型紙 | 現代のサイズチャートと型紙 |
戦時中のジャケットも、すべてが同じだったわけではありません。ラフウェアやJ.A.デュボウといったメーカーは同じ仕様書に従いながらも、契約ごとに作りに差がありました。そのため「オリジナル」という言葉は、ひとつの仕上げ基準ではなく、時代と型を指すものです。
背中のペイントとその後の歴史
戦時中、多くの搭乗員が部隊の記章やペイントのアート、スローガンでジャケットを飾りました。1944年11月、陸軍省は許可のないアートワークをフライトジャケットに施すことを禁止しました。空軍は創設40周年にあたる1987年ごろにA-2を再導入し、最初の納入は1988年5月でした。1931年の型は、その後も民間のスタイルとして定着しています。
今、A-2スタイルのジャケットを買うなら
オリジナルのA-2ジャケットを探すと、本物の当時の品、軍が再発注した復刻品、そして民間のレプリカという3種類に出会います。当時の品はコレクターズアイテムなので、形よりも状態、ラベル、来歴が重視されます。レプリカは革、型紙、仕上げで評価されます。普段使いには、同じ思想で作られた現代のジャケットのほうが現実的なことが多いでしょう。
A-2は、丈が短く身体に沿ったカットの他のレザースタイルとも近い位置にあります。上のA-2チェックリストと比べる候補は、( )の中から絞り込めます。同系色でタイトなカットのブラウンのスタイルとしては( )があり、別のスタイルとしては( )もあります。襟、ポケット、革は各商品ページで確認してください。
ファートリムやファー裏地のジャケットのカテゴリは( )です。夏用フライトジャケットとして規定されたA-2より、寒い季節に向いています。当時の雰囲気を好むライダーは、ジャケットに( )を合わせることもあります。革の種類、裏地、フィット感は各商品ページで確認し、記載のない点は販売者に問い合わせてください。
よくある質問
オリジナルのA-2フライトジャケットはいつ登場しましたか?
アメリカ陸軍航空隊は1931年5月9日にA-2を承認しました。仕様書は1930年に出され、同年9月に着用試験が行われています。ボタン留めのA-1に代わり、ジッパーフロントとスナップ留めのレザーカラーを採用し、そのデザインは長年にわたって使われました。
オリジナルのA-2は常にホースハイド製でしたか?
いいえ。最初の仕様書はクロムなめしのホースハイドを指定していました。カウハイドは1940年7月17日、ゴートスキンは1941年3月10日に承認されています。そのため、請負業者ごとに異なる革で作られていても当時の仕様に沿っており、革だけではオリジナルとレプリカを区別できません。
現代のレプリカと当時のジャケットは、どう見分ければよいですか?
ラベル、裏地の素材、袖口と襟の作り、ジッパー、サイズ表記を、博物館の記録など文書で確認できる実例と照らし合わせます。復刻ラベルは古いラベルを真似ていることがあるため、見た目だけよりも、来歴と、各ディテールを説明できる販売者かどうかが重要です。
空軍はA-2を復活させましたか?
はい。空軍は創設40周年にあたる1987年ごろにA-2を再導入し、最初の契約によるゴートスキンのジャケットは1988年5月に納入されました。この再発行品は、1930〜40年代のオリジナルとも、独自の型で作られる民間のレプリカとも別物です。
執筆:Leather Collection編集チーム



